リズムのトリック

はじめに

何年か前にラジオを聞いてたらキダタロー氏が、(確か子供たちに)4拍子の曲でリズムをとらせたら、3拍子でリズムをとったとかで「違う違う」と怒っていました。ある意味正しい指摘かもしれませんが、ボクはひとりで怒鳴りましたね。「どこが違うねん!」。なんで4拍子の曲を3拍子のグルーピングとして感じたらいけないのか、意味が分かりませんですね。好きな様にリズムをとったらええやないの? どっちかっていうと4拍子の曲を素直に3拍でとろうっていう方が高度な事をしているという考え方もできますし。「違う」とか「正解」とかで音楽を考えると、まったくつまらないですよね。そんなもんは音楽には存在しないものだと思います。特に子供にそういう先入観を与えてしまうのは、まったくもってもったいない話しです。こういうコードではこの音を使ってはダメだとか、3連の曲で16分のおかずを叩いたらダメだとか、そういう事は何もないですよ。

5拍7連

アクセスログを見ていると、「5拍7連」というマニアックな検索をかけて来てくれてる方がいるようです。実際にこのサイトで「5拍7連」について書いた記憶がないので、情報をゲットできなかっただろうと思いますが、いいネタですのでそういう話題をば。

リズミックな「トリック」を使う場合、基本は「違う拍子を繰り返す事」だと思います。例えば4分の4拍子の曲は、ずっと「4」のリズム、あるいはフレーズで完結しながら進んでいきますよね。その「4」を例えば「3」で割るとき。この「3」というのは、いかにも「これは3ですよ!」っていうリズムパターンだったりフレーズだったりを繰り返したらいいのです。一回だけやっても、聴く方はそれを「3」とは感じません。繰り返すことでそのリズムやフレーズのアタマを、拍子のアタマだと思ってしまうというトリックです。これはドラムだったら「ドン・タン・タン」なんていう3拍で解決するパターンを4拍子の上で「ズレ」ながら繰り返して叩けばいいし、メロディ楽器ならは「ド・ソ・ソ」などというように繰り返したらいいのですね。「4」の上に「3の音のカタチ」を作ればいいのです。これは俗にいう「3拍フレーズ」というやつです。

3拍フレーズ

で、そういう事を発展させると、さらに5拍で解決する「5拍フレーズ」やら、7拍で解決する「7拍フレーズ」やらと色々と考えられるのですが、さらにマニアックにいくと「5拍7連」みたいな感じになってくる訳ですね。ポリリズムの世界です。さて、この「5拍7連」とかを考えるときにどう考えるのかというのは、分かりやすい「法則」みたいなのがあります。結論からいうと「X拍Y連」は「Y連をXで分割すればいい」という事です。

例えば「4拍3連」だと、「3連を4分割」すればいいです。アタマにアクセントを付けて、4つづつに割っていきます。最終的にアクセントだけをとりだすと「4拍3連」のできあがり。

3連を4分割

同じように「3拍5連」だと、「5連を3分割」すればいいです。

5連を3分割

で、今回のテーマである「5拍7連」はどういう風に考えればいいのか? もう分かりますね。「7連を5分割」すればいいのですね。

5拍7連

出来るかどうかは別としまして(笑)、理屈はこういう感じだと思います。でも、更にマニアックにしてみたい方は、はじめの「3拍フレーズ」とかと、次の「ポリリズム」の合わせ技をすれば最強ですね。「3拍4連」の例だと3拍フレーズなので3拍で解決します(「n拍フレーズ」なんていうのは、全て「n拍」で解決しますね。勿論「n」は任意の数字です)。だから「3拍4連」だと分かりやすい様に、4分の3拍子で書いたりしますが、それを「3拍フレーズ」としてやってしまうという事です。同じ様に4分の4拍子の曲の中で「5拍7連」のフレーズを演奏するという事も「5拍フレーズ」な訳であります。ボクは出来ませんけれども。こういうトリックを曲に織り込むと4分の4拍子を、変拍子よりも難しくかつ自由にする事ができます。Tipographica的な考え方ですかね。もちろん変拍子の中でやるのもアリですけど。

こういうトリックを色々と考えるのは面白いのですが、くれぐれも使い方には気をつけないと演奏が崩壊したりします。メンバーの理解を得ずにいきなり一人でやってしまうと、かなり危険です。特に思いつきでライヴでいきなりやってしまわないように。ちなみにこの前のpazapの練習で、「くらむぼん」の5拍子の部分を「5拍4連」のパターンでいきなり叩いてしまったら、演奏は崩壊寸前だった事を付け加えさせていただきます(笑)。申し訳ございませんでした、メンバーの皆様。

で、最後に「5拍4連」っていうのは、どう考えればいいのか。もう分かりますよね?


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最終更新日
2003年06月06日
文責
すぎもとともひで

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