コラムというほど大袈裟でなく、日記というほど更新もできない。
ただ、pazapのメンバーが思ったことを書き綴るページです。
阪急電車の駅に置いてあるフリーペーパーを読んでたら、近々移転するらしいブルーノート大阪のスケジュールに、スティーヴ・ルカサーのライヴが載ってたのです。スティーヴ・ルカサーは結構ちょくちょく来てるので、また来るんだ、見に行きたいなぁ……とかって思ったのですが、それよりも、その紹介文を見てびっくり。なんと「元TOTOのギタリスト」だって! えっ! ルカサーってTOTOを脱退したの? とかって驚いてしまいました。あわててTOTOのサイトを見てみたら、ちゃんとルカサーの名前があるやんか! 最近、今年の東京Jazzに出演してた時のレポートを見たばっかりだったので、そんな筈は無いとは思ってましたが。ひょっとして、記事書いた人はTOTOは過去のバンドで、今はすでに解散してるとか思い込んでるんちゃうの? それか、ジェフ・ポーカロが居なくなったTOTOは、もうTOTOではないと思っているとか? 確かにジェフ・ポーカロはTOTOには不可欠やけど、サイモン・フィリップスなんていうスーパー・ドラマーが十分に後を継いでるじゃないですか!
それから、先日FMラジオなんてのを聴いてたら、来日公演が決まったからかStingの特集をやってて、Stingが参加した珍しめの曲なんかを色々とオンエアしてたのですが、Frank Zappa御大のライヴに飛び入りして歌ったポリス時代の"Murder By Numbers"(収録アルバム"Broadway The Hard Way")なんか、もの凄くこういう企画にぴったりなんですが、きっとこういう音源がある事する知らなかったりするんでしょうね。ポリス時代の……って言っても、ポリスのそれとはほとんど別の曲って感じで、どっちかっていうとボクはこっちの方が好きです。
そして、最後にD.JのおねいさんがStingの事を聖人の様に誉めたたえておりましたが、そういう方はビョークが表紙のサウンド&レコーディング・マガジン 2004年10月号のポリスのレコーディング秘話を是非読んでみましょう。
文化庁舞台芸術国際フェスティバル(International Performing Arts Festival 2004)のイヴェントで行なわれた「古都に流れる現代の響き”いにしえ”からベリオ(Contemporary Sounds In An Ancient City "Berio In Kyoto")ルチアーノ・ベリオ「セクエンツァ 全曲演奏会(Complete Performance of Luciano Berio's Sequenzas)」を見て、そして聴いてきました。
この演奏会は、京都市内の浄土宗系のお寺3ヶ所を会場として、それをめぐるとベリオの「セクエンツァ」(全17曲)を聴いてしまえるというもの。昨日、お昼の12時開演ぎりぎりに、ひとつめの会場である浄土宗総本山の知恩院にかけこんで、貰ったパンフレットを見て初めて気付いたのですが、これ1日で全曲やってしまうのですね。ボクはてっきり、2日かけてやるのだと思って、1ヶ所に付き1時間くらいだろうと思ってたのですが、これがとんでもない。「セクエンツァ」自体が17曲あって、1ヶ所ごとに2曲、邦楽がはいるので全23曲。3ヶ所の実質的な演奏時間だけでも5時間を超える演奏会だったです。ひえー。で、結局2日とも行くつもりだったのですが、昨日だけでヤメにしました。これを2日間通すのは現代音楽好きといえども流石に辛いです。
知恩院は大きい三門を舞台として、その内側にある石の階段が客席という、とっても素晴らしい会場となっていました。そして、ステージ左右には大きいP.Aスピーカーが。舞台が野外で、そして「セクエンツァ」は全て独奏楽器のみの演奏――正確にはトランペットはピアノがつきます――なので当然だろうなぁと思いました。
会場が有名な観光地で、祇園のあたりで隣は八坂神社とか円山公園があるし、なんせオープンなスペースなので、見たがりのおばちゃんとかがドーっとやってきては、演奏1曲聴いて「なんだこりゃ?」とドーっと去って行くという感じで、もの凄く人の出入りが多いです。演奏中の入場制限とかもしてなくて、ちょっと気が散るといえばそうなんですが、まぁ許せる範囲内ではありました。これは野外だからっていうのが大きいと思います。実際にそういう状況に加えて、上では小鳥のさえずりやカラスがカーカー大きい声で鳴いたりするし、車のクラクションは聞こえるし、ヘリコプターは飛ぶしなんですが、これが現代音楽のコンサートだからか、逆に効果的で良かったです。勿論、こういうのを本当に「騒音」としか聴けない人も居たと思いますが。ボクとしては、木が風で「ザー」って言ったり、遠くで「南無阿弥陀佛」とかって念佛が聴こえて来たりしたのが、とっても効果的で、ソロ楽器の演奏なので、これが絶妙のハーモニーとなってたと思いました。
演奏としては、「セクエンツァXIII」の女性ヴォーカルのソロが面白かったです。やっぱり声は凄い説得力があるのと、その逆にこういう現代曲のは、その奇異さがしゃくに障ると感じる人も居るかもしれないですね。何も知らずにフラリとやってきて、モーツアルトみたいなのを聴かせてくれるのかと思っていた人には、流石にビックリだったのでしょうね。なんせ、曲が終わる度に帰る人が結構いるんですから。
昼の12時すぎに始まった知恩院での演奏会は終わったのが2時前くらい。ボクは1時間くらいのつもりだったので、各お寺間をゆっくり散策して丁度いいなぁ……とふんでたのですが、甘かった。次の2時30分からは百万遍という今出川通りの場所。四条から今出川まで、地下鉄だと3駅くらいの所を2.30分で歩くのはちょいとキツいです。バスを使おうかと思ったのですが、結局、途中ローソンで豚まんなんかを買いながら、歩いてしまいました。でも結局、オープニングの鼓の演奏を聴く事が出来ませんでした。
大本山百万遍 知恩寺 御影堂。ここからはお寺の中なので、受付でビニール袋を貰って、自分の靴をその中に入れてから会場に入ります。ちょいと遅れたので、1曲目が終わるまで入場待ち。中に入ってみると、現代音楽ファンってこんなに居るの? と思ってしまう程、人が一杯。しょうがないので、一番奥の方まで進んで、座る場所を見つけました。御影堂という事で、目の前に高く祀られているのは、仏様じゃなくて法然上人なのでしょう。なんか、こういうお寺の中で現代音楽を聴くってのは、なかなかオツなものです。ちなみにここでもP.Aが使われてました。
ここでの演奏、一番凄かったのは最後の箏の演奏でした。邦楽って言っても多分現代邦楽の曲なんでしょうね。「セクエンツァ」よりも現代音楽的な感じで、とっても素晴らしい曲と演奏でした。三木稔さんの新しいCDがリリースされるそうなのですが、この演奏を聴いて、絶対に買っちゃおうと思ってしまいました。邦楽も凄いなぁ。
この会場は、演奏会が終わってから、特別に「数珠回し」をさせてもらえるというので、せっかくだから参加してみました。京都あたりでは地蔵盆とかでも行なわれるのだそうですが、ここのはもっと規模が大きい数珠回し。地蔵盆なんていう風習が無い場所で育ったボクとしては、今回が初めての体験で面白かったです。こぶし大程の大きさの数珠を大勢の人で持って、お坊さんのお経(?)に合わせて全員で右手から左手に送っていきます。お坊さんの文句がよく分らなかったので一緒に唱えられなかったのが残念ですが、浄土宗のお寺なので最後のキメ(?)は絶対「同唱十念」だろうと思ってたのです。案の定「同唱十念」が来たので、そこからのお念佛だけはちゃんと唱えられました。あぁ、すっきり。最後にお参りをしてから、次の会場へと出発しました。
知恩寺から法然院までは、そんなに遠くなくて、ゆっくり歩いていくにはちょうどいい距離でした。京都大学の農学部を超えて、途中Joe's Garageの前を通るのがネックでしたが、ちゃんと思いを振り切って、入らずに通り過ぎる事が出来ました(笑)。そのまま銀閣寺方向へ進んで、哲学の道には行かずに、銀閣寺の参道の方を散策。せんべいやさんで「赤しそせんべい」を買って、バリバリ食べながら歩きました。閉門寸前で修学旅行生が駆け込む銀閣寺の横を南に折れて、暗くなって来た午後5時すぎのあのあたりは、もの凄く寂しくてヒンヤリとしていました。実は全然、法然院の場所を知らなかったのですが、気付いたら法然院の前でした。予定よりずいぶん早くに到着です。
この会場はなんか外国人さんが多い感じ。お寺の本堂なので、椅子席じゃない訳で、慣れてないせいか何か大変そうでしたですね。この会場も人が一杯で、入りきれるのか! って感じ。これくらい現代曲の演奏会が盛り上がったらいいですねぇ。ここでの演奏で凄かったのは、ファゴットの方でした。パスカル・ガロワ(Pascal Gallois)さんという言うお方。流石にこの曲の初演者だけあって、ほとんどの人が譜面を見ながらなのに対して、この方は暗譜での熱演。日本でのクラシック演奏会で飛び出す「ブラボー!」っていうのに辟易する事が多いですが、今回の演奏会で唯一のこの方への「ブラボー!」は、まさしく本来のブラボーでしょう。拍手が鳴り止ますに再度ステージに呼び出されたのもこの方だけでした。もう本当に凄い演奏だったですよ。この演奏を聴けただけでもの凄くラッキーでハッピーでした。値打ちある演奏会だなぁ。いや、勿論他の方も素晴らしかったですけれども。
そういう充実感の中、お腹も減って来た事だし、ご飯を食べて帰ろうと歩いてたら、ひとりのおじさんがラジオを片手に行ったり来たりしておりました。変な人だなぁ……と思ってたのですが、そのラジオから流れる内容が地震を伝えるNHKのニュースっぽくて、とても大変な事が起こったような口調だったのでビックリ。慌てて京ポンのOperaを起動してニュース・サイトを見てみると、今回の新潟の地震の事でした。
たまたま通りかかって気になった「大銀」という食堂に入って、鯖の焼き魚定食を注文。店の中に置いてある大きなテレビで流れてる、緊急特番を見つめながらの晩ご飯となりました。台風が去ったと思ったら、こんどは大地震か……。切迫したニュースを見ながらも、ここの定食はヴォリュームがあって安くて美味しくて、本当にお腹いっぱいになりました。
同じ日本の上で、こんなにハッピーな演奏会を5時間以上聴いたあと、こんなに美味しいご飯を食べたのに、こんなに大変な一夜を体験する人々も居るという、なんとも微妙な気分。思ってみれば、今日1日だけがそうじゃなくて、毎日がそうなんだとも言えます。勿論、明日は我が身かも知れないですし。昨日は色々な意味で本当に忘れられない1日になりました。
週末に図書館に本とCDを返しに行かないといけないのですが、どうも時間がなさそうなので、昨日は閉館前にかけこんで返してきました。代わりに借りて来たのは、ショスタコーヴィッチ(1906-1975)の「交響曲第9番」と「交響組曲『カテリーナ=イズマイノヴァ』」(ウラジーミル・フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団/Pony Canyon/PCCL-00356)と、渡辺香津美「ギター・ルネッサンス」(ewe/EWSA0074)。渡辺香津美さんのは完全ソロのアルバムで、自作曲以外にバッハの「無伴奏チェロ組曲」とか、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」とかが入ってたりします。ショスタコは、ライナー読んで、この曲に込められた思いにビックリ。ばれたら命が無いような思いを織り込んで、作曲していたのですね。凄いなぁ。
さて、ボクが一番好きな映画と何度も書いてる、ティム・バートン監督のストップモーション・アニメ映画「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」。「クリスマス」という文字がタイトルに入ってるせいか、よくクリスマスにオンエアされたり、クリスマスにレンタル・ヴィデオ店で「クリスマスの映画コーナー」に入ってたりするのが不満だったのですが、最近はちゃんとハロウィンの頃に旬を向かえるようになってきましたですね。この映画は公開された頃よりも、公開が終わってからだんだんファンが増えて来て、かなりの根強い人気があるからか、公開10年目の今年は、なんとデジタル・リマスター版として劇場で公開されるのです。ファンとしてはたまらなく嬉しい限りであります。
そんな事を言いながら、すっかり前売り券買うのをすっかり忘れていて、「まぁいいか、当日でも……」と思っていた所、なんと前売り券を購入すると、特典としてピンバッヂが付いているという情報を昨日入手(遅すぎ)。調べてみると公開前日の今日まで、前売り券を販売してるというので、本日あわてて買ってきました。ちゃんとピンバッヂも付いてたのです。レイト・ショーで見に行く予定なので、そうすると前売りよりも当日券を買った方が200円安いのですが、ピンバッヂが付いてるのなら、半券と合わせても、やっぱり前売り券の方がお得ですよね。
この映画の良さは、世界観、キャラクター、ストーリーなど、どれも最高なんですが、ボク的にはなんと言っても音楽が最高。ミュージカルみたいなものですから、歌もある訳ですが、これがボクの個人的な趣味で言えば、日本語吹き替え版の方が好きです。だから吹き替え版を見に行きたかったのですが、京都で上映される2つの映画館共に字幕版だけなのが非常に残念です。
さぁ、明日とあさっては、京都のお寺3ヶ所現代音楽ハシゴ・ツアーの日でございます。ベリオの「セクエンツァ」全曲を聴くのです。楽しみ楽しみ。