役に立たないポリリズム講座

このページはパザ日誌に書いた「ポリリズム」の話しをまとめたものです。
このページはまだまだ至らない所が多いので、ちょっとづつ更新していきたいと思います。


はじめに

「ポリリズム」というキーワードで検索をかけて、このサイトへ辿り着いたりする事がちょくちょくあるようです。確かにこのサイト内には「ポリリズム」っていう言葉がちょくちょく出て来ます。でわ、いったいポリリズムとは何なのであろうか! っていうのをボクの認識してる範囲で紹介してみようかな、なんて思いますです。「それは違うやろ!」っていう事を書いてあったりするサイトを見かけたりするので。でも、ボクの認識も正しいとは言えるかどうか、ちょっと疑わしいので、その辺りのツッコミがありましたら教えてくだされば幸いです。


ポリリズムとは

「ポリリズム」っていうのは「複数のリズムが同時進行で演奏される事」なんですが、その辺りの事は取りあえず今回は放っておいて、いくつかのパターンに分類してみましょう。


まづ3拍フレーズ

3拍フレーズの譜例

まず上の1つ目のパターンは小節をまたぐパターン。いわゆる「3拍フレーズ」と言われるようなやつです。譜例では4/4のリズムに下の段のように3拍おきにアクセントがきたり、3拍のフレーズになったりしていて、4/4と3/4が同時進行しているようなタイプです。(点線は3/4のイマジナリー・バー・ライン) 一般的に「3拍フレーズ」と言われるように、フレーズとして曲のある一部分だけに使用される使い方が一般的だと思います。例えばドラムだけがプレイしたり、ソロのメロディの音型が3拍で解決するような場合が多いです。だから「ポリリズム」というより「トリッキーなフレーズ」という感じでの認識の方が多いのではないかと思います。ちなみに5拍フレーズ、7拍フレーズなど、他にも色々と考えられます。


お決まりの2と3

4拍3連

そして2つめの上のパターンは「同じ周期内で違うリズムが同時進行するタイプ」です。これはポリリズムを説明する時に一番良く出て来るパターンですね。はじめのパターンと同じように4と3の同時進行ですが、バーラインを超えずに1小節で解決するのでフレーズとしても使えますし、1曲まるごとでも使いやすいです。左は3/4で記譜した場合で、上の3拍に対して下は3拍4連(3拍を4等分)になります。右は4/4で記譜した場合で、上は4拍3連(4拍を3等分)になります。
3拍4連と4拍3連
3拍4連とか4拍3連なんてどういうこと? っていう人もいるでしょうが、上の譜例のように考えると分かりやすいでしょう。左は3拍4連の考え方です。16分音符を3つづつにグルーピングして、頭にアクセントを付けたものです。アクセントだけ叩くと3拍4連となります。右は4拍3連です。考え方はまったく同じで3連符を4でグルーピングして、頭にアクセントを付けます。(右の上の段)同じ様にアクセントのみを叩くと4拍3連のできあがりです。このタイプをボクは「同じパルス上で進むポリリズム」と呼んでいます。3/4の16ビートと4/4の3連が同時に進行してるのと同じで、それぞれ16分音符と3連符1個づつは同じ長さだという事です。音符の長さが同じなので実用的で、聞き様によって16ビートにもシャッフルにも聞こえる面白い効果が得られます。もうお気付きだとは思いますが、実は一番始めに出て来た「小節をまたぐ」タイプと同じ事なのですね。


違うパルス上で同時進行するポリリズム

4拍5連

今までに出てきたのが「同じパルス上で同時進行するポリリズム」だとしたら、上の譜例は「違うパルス上で同時進行するポリリズム」という事になりますかね。4/4の曲に4拍5連のパターンが乗っかるパターンです。4拍5連は1拍5連を4にグルーピングして頭をアクセントにして、アクセントだけを取り出したものと考えられます。勿論、4/4のリズム自体が5連符で動いている様な曲の場合はこのパターンも「同じパルス上で進行するポリリズム」になるのですが、そんな曲はそうそうないので、一般的な西洋のリズム(4ビートや8ビートや16ビートやシャッフルなど)の上で4拍5連のリズムを乗っけるとパルスが違ってきます。使い方次第では面白い効果が得られそうですね。もちろん4拍7連とか、色々と他にも考えられますし、4拍5連をさらに4のグルーピングにしたり…とか、発展次第ではどんどん広げられますね。pazapではこのポリリズムを「おやまのフジー」のギターソロ前で使ってます。pazapのスタジオ練習での音源から聴いてみてください。

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5と4のポリリズム

5拍4連

5のグルーピング系でも「同じパルス上のポリリズム」を作る事はできます。上がその考え方です。5/4の変拍子の上で16分音符を5づつグルーピングしてアクセントだけ取り出すと5拍4連になります。これで5と4が同時進行できます。最近のpazapでは「くらむぼん」のイントロの5拍子の上でパーカッションが5拍4連でポリリズムしてます。あと、全員が一斉に5になったり4になったりというような方法も考えられます。fragileの"L.C.M"という曲がこの考え方を効果的に使ってトリップしてて、気持ち悪くて最高に気持ち良いですね。


ポリリズムの記譜法

ポリリズムの記譜法
ポリリズムの記譜法も色々とありますが、上の譜例は異なるリズムを同じ拍子で書く場合(左)と違う拍子で書く場合(右)です。どちらも同じ様に演奏されます。ポリリズムの部分が長くて、いちいち連符記号があると逆に分かりにくい場合は右の方が分かりやすいのかも知れません。右の書き方はストラヴィンスキーのスコアの中とかで見られます(全部がこういう書き方ではなくて、左右のどちらの書き方も出て来ますが)。こういう書き方がスタンダードなのかどうか、よく知りませんが、こういう書き方もあるという事で…。

意図されたポリリズム

普通に16ビートリズムの上での1拍3連のフレーズ、またはフィルインなどが重なったとき、それが楽譜などによって指示されていようが、意図したアドリブだろうが、何気なく演奏したアドリブであっても、その瞬間はポリリズムになっている訳です。そう考えると誰でもポリリズムを演奏している事になります。今度もそういう何気なく演奏しているポリリズムではなくて、一時的に出て来るポリリズムのフレーズで意図されたポリリズムを例に上げてみます。

「南極にGo!」譜例

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これはまだpazap用には作り直してないのですが、前にドラム道場の発表会で演奏した時に作った「南極にGO!」という曲の中に出て来る一部です。譜例はドラムパートですが、バスドラとハイハットの規則的なオスティナート(…っていう程のもんじゃないですが・笑)の上にスネアがメロディとユニゾンになっています。このドラムパートだけでもポリリズムになっている感じですね。こういう譜面を見てみると、奇数連符というのはそれを演奏するだけでポリリズムになることが多いという事になるという事です。ポリリズムをプレイする上で奇数連符はかかせないものだというコトです。その中でも普通ではあまり見かけない「5連符」とか「7連符」とか「11連符」をはじめとする、「3連符」以外の奇数連符を効果的に使って、楽しいポリリズム・ワールドをエンジョイしませんか!


番外編

「魔女」の譜例

ここからは厳密に言うとこれはいわゆる「ポリリズム」とは違うと思うのですが、ついでに紹介しておきます。これは「ヘミオラ」っぽい感じですかね。7/4のリズムの中に7/8のフレーズが2回入ります。勿論、逆に7/8に7/4が入っても同じ事です。これは7/4と7/8ではアクセント部分が変わって来るので、ちょっとトリッキーな効果が得られます。pazapでは「魔女」という曲の一部に使っております。ちょっと分かりにくいですが、サンプルを聴いてみてください。

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「Toy Boy」の譜例

これはpazapの"TOY BOY"という曲のドラム・パターンです。この曲ではギターとシンセが4/4で、ドラムとベースが8/9と7/8を交互に演奏します。9/8と7/8は4/4が2小節と同じ長さなので、2小節で解決します。これも前のと同じで小節のアタマの位置が違うので、ちょっとトリッキーになりますが、4/4で感じる事も出来ます。そのTOY BOYをpazapのスタジオ練習の音源から聴いてみてください(ドラムのパターンは譜面通りではないです)。

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初出URI
最終更新日
2003年12月22日
文責
すぎもとともひで

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