パザップ地方に伝わるお話・フジー

ぱざっぷ地方にこういう話が残っている。


---むかしむかし、ぱざっぷ地方のまん中にとても大きいヤマがあった。
そのヤマはぱざっぷ地方のシンボルでもあり、人々の誇りでもあった。
それは、ただ高いだけで無く、とても美しい山であったからだ。
ヤマの頂上部は一年中雪が積もり、完全にとける事はなかったが、
それでも春先になると、雪解け水が麓の湖に流れ込み、全ての生き物のいのちの源となった。

そんなヤマにも、悩みがあった。
彼はもう歳を感じていた。
長い間ここに座っていて、ちょっとづつは崩れてはいたのだが、
今度の北側中腹の崩れ方は、いままでのモノとは違っていた。
でも、ヤマの悩みはそこではなかった。

「このままでは、このヤマが崩れてしまう。」
ヤマを愛する人々は、心配した。
こんな美しいヤマを、無くしてはならない。
すぐにこの国一番の学者が集まり、会議がはじまった。
その結果、崩れかけている部分をコンクリートで固めて補強しようということになった。
すぐに工事は始められ、ヤマにコンクリートがうちこまれた。

ヤマは悲しんでいた。
ヤマの歳では、ここに居続ける事は苦痛であったのだ。
人々は一生懸命だった。
その気持ちが分かるだけに、ヤマは苦しんだ。

工事は順調に終わり、みんなはホッとしていた。
ヤマは苦しいけれども、人々のためにガンバっていた。
そんなある夜、ツキがヤマに語りかけた。

ヤマさん、わたしは長い間この星を見ています。
あなたがここに生まれる前にも、この国には大きなヤマがあったのですよ。
高いものは低いところへ、低いものは高いところへ、この星にはそういう意志があるのです。
あなたも従わなければなりません。
そうやって、あなたも生まれたのですから。
次の満月の夜、あなたはわたしの引力で崩れます。
わかってますね。

はい、ツキさん。
充分分かっております。
それはわたしが決める事ではありませんから、全て宇宙の意志にお任せします。

次の満月の夜、ヤマは崩れ落ちた。
人々は驚き悲しみ、嘆いたがどうしようもなかった。
そして長い間、補修のやりかたが悪かったと議論になったそうだ。---


ぱざっぷ地方には、今もこのヤマの名残りがあるそうだが、小さい丘ほどの高さだそうだ。
このお話を元にした曲がpazapの「おやまのフジー」である。
曲はこちらで!


おやまのフジー

作詞 その・すぎもとともひで

もう何万年も生きてる
この国のまん中に座って
いい加減休ませてよ

頭の帽子も取らせてよ
肩こりヒドクてたまらない
そんな事知りもしない

変わらない事がいい事だなんてバカバカしいね
限りある命だからこそ輝ける
ボクもそうなのに

ポーズをとるのもうんざりで
あくびも背伸びもしたいけど
動けない固められて

ボクが崩れてなくなったら
新しい命が生まれる
みんなそうして生まれた

幸せな事は悔いの無い人生を送る事で
いつまでも長く
ただ生きてる事じゃないと思わない?

変わらない事がいい事だなんてバカバカしいね
限りある命だからこそ輝ける
ボクもそう

変わらない事がいい事だなんてバカバカしいね
日本一高いこのぼくの悲劇いつまでつづくの?


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